はじめに
こんにちは。ミルディアの廣瀬です。
突然ですが我が家の次男は、頭部の形状矯正を目的に生後5~8ヵ月までの3ヵ月間ヘルメット治療をしていました。これといって目立つイベントがあったわけではないのですが、なかなか珍しい体験だったと思うのでせっかくなのでまとめてみました。この記事が皆さんの何かの参考になれば幸いです。

きっかけ
なんか頭の形が気になる。。。
遡ること数か月前。次男の月齢2~3ヵ月頃のある日のことでした。
この頃の赤ちゃんは頭蓋骨がまだ柔らかく、少しの圧力で変形しやすい状態です。
出産時に一時的に加わった圧、寝るときの向き癖など、様々な要因で頭部が変形してしまいます。
特に向き癖は親の悩みのタネとして定番で、親はドーナツ型の枕を導入するなど気に掛けておりましたが、気が付けは次男はいつも同じ向きでスヤスヤと眠っていました。
実際に向き癖が影響したのかは分かりませんが、なんとなく違和感を感じるようになり、ある日その違和感は確信に変わります。
「なんかこの子の頭の形、悪くない?」
ヘルメット治療との出会い
一度でも気になってしまうと意識せずにはいられません。
いくらネットの記事で『重症でなければ大丈夫』と書かれていても、重症かどうかなんて素人には分かりません。いったいどうしたものか。。。
そんな悶々とする日々を送っていると、ある日長男の保育園で他の保護者がヘルメットを着けた赤ちゃんを連れているではありませんか。
チャンス!とばかりに話を聞くと、どうやら長男のかかりつけの小児科でヘルメット治療をやっているとのこと。
このタイミングで出会うのは運命なのだろうと、重い腰を上げて受診してみるのでした。
ヘルメット治療とは
さて、ヘルメット治療とは何でしょう。
前述の通り赤ちゃんの頭の骨はやわらかいため、日常生活のちょっとしたことでゆがんでしまいます。
こうしたゆがみを改善するために頭蓋形状矯正ヘルメットを装着して、自然な頭の形に頭蓋骨を成長させていく治療が『ヘルメット治療』です。
ヘルメット治療の仕組み
歯並びの矯正と異なり外から圧を加えて変形させるのではなく、ヘルメット内の型の微妙な隙間に合わせて頭部が自然と成長していく過程で整えていくのが特徴です。
現在の頭部の形状に合わせて、突出している側は隙間を作らず、成長を促したい平坦な側はヘルメットの内側に微妙な隙間を作ります。
そうすることで、隙間がない側は一時的に抑制され隙間のある側にだけ成長していくので、頭部の形が綺麗に矯正されていく、という仕組みです。

治療が可能な時期
自然な成長に合わせるという仕組みの都合で、頭蓋骨がまだ柔らかい生後3か月から7か月頃が適正開始時期とされています。
早すぎると首が座っておらず、普段のヘルメットの着用に耐えられません。遅くなると頭蓋骨が硬くなってくるので、上手く矯正が出来なくなってしまいます。
意外とあっという間に過ぎてしまうので、検討や決断は早めの対応が必要です。
治療をしないとどうなるの?
美容の観点でいえばもちろん頭の形が綺麗なほうが良いのですが、それ以外にも将来的に頭部の歪みによる悪影響を及ぼす可能性があります。
目や耳の位置が左右でズレてしまうことでメガネが掛けづらくなったり、重心がズレてしまい頭痛や肩こりを引き起こしたり、歯並びが悪くなったり、・・・etc
この可能性 というのが実に厄介で、そもそも何もしなくても成長と共に歪みは軽減されて行く上に、仮にこれらの症状が出たとしても因果関係を簡単に証明できません。
とはいえ子供には少しでも良い人生を送ってもらいたいのが親心というもの。必要なのであればなるべく早めに手を打ちたいところです。
治療が必要な基準は?
ではどうやって必要性を判断するかというと、基準の一つとして「斜頭度」と「短頭度/長頭度」という尺度があります。

- 斜頭度・・・頭の中心線から左右に30度傾けた線分A、Bの長さの比率
- 短頭度/長頭度・・・頭部の横幅と前後幅の比率
これらの数値で最重症~正常と5段階に分類され治療の要否を判断するそうです。
実際には単純に数値だけではなく医師による複合的に判断されるそうですが、ある程度の客観的な基準はあるので根拠をもって漠然とした不安の解消ができます。
(※ しきい値などは医療機関によって多少異なりそうです)
治療開始までの流れ
申し込み~3Dスキャン
いろいろと悩んだ結果、我が家は生後5ヵ月のタイミングから開始することにしました。
運用の流れや付属品は医療機関やヘルメットのメーカーごとに異なるので参考程度に。
初めて相談に行ったのが9/18。その日はノギスを使った簡単な測定と色々と説明を受けました。そして一度持ち帰り、9/20に正式に申し込み・精緻な測定をすることになります。
測定は正確にするために頭部の3Dスキャンを撮ります。実際の画像がこちら。

我が家の場合は斜頭度が重症と中等症のちょうどしきい値くらい(ほぼ4段階目)、短頭度はほぼ問題なしとのことです。上からの画像が後頭部の形に左右差があるのが分かりやすいですね。
ヘルメットの成型~受け取り
ヘルメットは1つ1つがオーダーメイドなので、治療はまだ始められません。しばらくは成型待ちで、実際に受け取ったのが10/2になります。その受け取ったものがこちら。

- ヘルメット本体(ベージュの丸いやつ)
- クッション(黒いやつ) * 2
- スポンジ(黒いやつについてる四角いの) * 沢山
- 滑り止め(丸いやつにクッションを固定するためのもの)* 沢山
- クッションとスポンジの貼り付け位置説明書
開始してすぐは何処かしらが空きスペースがある状態なので、ガタガタズレないように説明書の指示通りにスポンジを貼り付けます。
スポンジを着けたらヘルメットの内側に、隙間ができないようにクッションを貼り付けていきます。(結構コツが必要で難しい)
運用開始
後はひたすら被せておくだけです。基本的にお風呂の時間やヘルメットのメンテナンス中以外は、睡眠時間を含めてずっと装着したままです。
ヘルメットを装着している以外は普段通りの日常を過ごして、1ヵ月ごとに経過観察のために診察です。

運用中の困ったこと
とても。。。臭い。。。
赤ちゃんはとても汗をかきます。
そんな赤ちゃんに1日23時間ずっとヘルメットを被せておくとどうなるでしょう。
そうですね。とても臭くなります。ヘルメット本体やクッションは水洗い可能で、いつもお風呂の間に洗っていたのですがお昼を過ぎた頃にはもう。。。
メンテナンスが大変
基本的にメンテナンスはお風呂の時に一緒にやる事になります。
スポンジは使っている間にヘタレていくので消耗品です。ちぎれていないか、ズレていないかチェックして、必要に応じで貼り直しです。
また、クッションは洗い替えがあるのですが、本体は1つなので洗浄・乾燥・外したクッション・スポンジの再装着が日々のお風呂ルーティーンに組み込まれます。
ただでさえ赤ちゃんのお風呂ルーティーンはやる事が多いのですが、更に工程が増えて戦場です。
記録がめんどくさい
ヘルメットの装着時間は専用アプリで管理して、医療機関に情報連携します。
お風呂の前後にポチポチとするだけですが、前述の通りお風呂ルーティーンはバタバタしていることが多いので忘れてしまうこともしばしば。
正しく記録しないと適切な治療が受けられないのではないか、と地味にプレッシャーでした。
(結果的には忘れずに装着していれば、アプリの記録そのものはあまり重視されてなかったような気もします。)
帽子を被れない
当然ですが、すでにデカいヘルメットを被っているので帽子やフードの類は被れません。
オシャレや防寒の意味で、どうしても制約が生じてしまいます。
着替えの際も被せて着るタイプの服はヘルメットを一度外さないと脱ぎ着がしづらく、事実上の制約になっていました。実にめんどくさいです。

無鉄砲になる(?)
ほぼずっとヘルメットを装着しているので、多少頭をぶつけても痛くありません。(たぶん)
ヘルメット治療中にその辺を這いまわっては、頭をガツガツぶつけていました。
ヘルメットが外れた今でも、当時の感覚でガツガツ頭をぶつけては痛くて泣いています。アホかわいいです。
これはヘルメットのせいなのか、本人の生まれ持った正確なのかよく分かりませんが。。。
治療の結果
そんな苦労をしながらも、治療開始から3ヵ月目の測定で斜頭度、短頭度が基準の閾値を下回り無事にヘルメット治療を卒業することができました。
Before・Afterはこんな感じです。治療開始時点の3Dデータと重なっていて、赤いほうがAfterの画像になります。

やっぱり上からの画像が一番わかりやすいですが、平坦になっていた右側の後頭部が丸っこくなってます。
綺麗な左右対称な形状になったわけではないのですが、ヘルメット治療の目的は「頭部を理想の形状にすること」ではなく「頭部の形状を問題ない許容範囲に納めること」なのでこれで充分です。

グラフで見ると数値も徐々に良くなっていることが分かります。後は髪が生えそろえば見た目では全く分からない水準と言えそうです。
費用の話
さて、ここまであえて避けていたのですが費用についても触れざるを得ません。
このヘルメット治療、費用の方はというとズバリ非常にお高くなっております。
受診する医療機関によって幅がありますが、自己負担額はだいたい30~50万円ほど。我が家ももれなくこの範囲の金額でご対応頂きました。
なぜ高い?
金額でお察しかもしれませんが、保険適用外の10割負担になります。
また、前述の通りヘルメットは1つ1つを赤ちゃんの頭部の形状に合わせてオーダーメイドになるのでどうしても費用が嵩んでしまいます。
これとは別に汗でかぶれてしまった場合などは別途、皮膚科などの保険診療費用が掛かります。(小児医療費助成制度がある自治体は、通常の診療通り保険診療分だけは対象)
医療費控除は対象!
費用面の唯一の救いは医療費控除の対象であることです。
ヘルメット治療を開始できる月齢の時期の都合上、出産に関わる費用もまとめて同じ年に掛かることも少なくないかと思います。
絶対に忘れずに確定申告をしましょう!
おわりに
以上、ヘルメット治療体験記でした。(半分くらいはヘルメット治療そのものの紹介でしたが)この体験記が同じような悩みを抱える親御さんの参考になれば幸いです。
治療を行わなくても、ほとんどの場合は(少なくとも健康的には)問題がないこと、運用中の苦労、自己負担の金額などを踏まえると、今回の選択が最良だったのかは分かりません。
その分のコストを他のことに充ててあげた方が幸せだったのかもしれません。
ただただ自分たちの選択が、今後の彼の人生に良い影響を与えてくれることを祈るばかりです。
どんな選択をするとしても、親が子どもの成長を願い、サポートしようとする想いは本物なのだと信じています。