自作キーボードのすすめ(解説編)

はじめに

こんにちは、ミルディアのShotaroです。
今回は自作キーボードについて記事です。
キーボード、こだわっていますか?
自分はプライベートなPCでも仕事のPCでもマシン問わず、プログラミングでもドキュメント作成でもゲームでも、と用途も問わず手に馴染む同じインターフェースを使いまわしたいという理由でキーボードにこだわっています。

私は今まで数台組みたてたことがあり、試行錯誤をした結果選び方やおすすめキーボードについて少し話せるくらいになったと思うので、自作キーボードとはどういうものか、おすすめのパーツの選び方等を解説しようと思います。
キーボードオタクの趣味と主観による内容だったりするのですが、興味のある方の参考等になったら幸いです。

実際に作ってみた編はこちら->自作キーボードのすすめ(実際に作ってみた)

自作キーボードとは

自分で組み立てるキーボードのことです。
既成品と比較して、より自分向けにカスタマイズしたキーボードを使いたいという方が多くなってきており、最近かなりブームにはなっていると思います。
ベーシックなものから左右分離型、光らせたりトラックボールマウスを内蔵したり超小型だったり色々な種類があります。
極端な話、自分が設計するという選択肢を取れば、物理法則を無視しない限り無限の選択肢があると思っています。

自作キーボードのメリット・デメリット

メリット

  • 既成品には見られない特殊な配列にできる
  • キーコンフィグや同時押しでのショートカットを自由に設定できる
  • 好みの押し心地のキースイッチを選べる
  • 見た目を自由にできる

デメリット

  • 値段
  • 組み立てる手間がある
  • 2台目が欲しくなる

難しそう......

いきなり自分で基盤から設計!となると難しいと思いますが、基板とケース等がセットになった自作向けキットが売っています。
おそらくキーボードキットとキットに含まれないパーツを買って、自分で組み立てる方法が主流だと思います。
特に専門的な知識がなくても、説明書と少しインターネットで調べるくらいでキットの組み立てはできると思います。
多くのキットははんだ付けを必要としますが、特段難しいキットを選ばなければ中学校の技術の授業のラジオ制作程度の作業内容です。
また、最近はソケットに嵌め込むだけで完成する、特に道具も用意しないで組み立てられるキットもあり、かなり間口が広がっているように見えます。

どこで買うの?

インターネットです(雑)。
あと、秋葉原にキーボード専門店があります(詳しくは 遊舎工房 で検索してください)。
実店舗があるので、キースイッチの感触やキーボードキットの完成した実物が展示されていたりします。
カタログスペックだけではなかなかわからないと思うので、実際見てみることができるのは大変助かります。

自分は Aliexpress か、↑のキーボード専門店の 遊舎工房 から購入しています。
独特な国内の方が設計したキーボードキット(とあと急を要する保守パーツ)は 遊舎工房 で、互換性の高い基板やキーキャップは Aliexpress で買うことが多いです。
最近はAmazonでも割と買えるようになってきました。

関連リンク

  • 遊舎工房
  • YMDK Keybord(おそらくAliexpress経由ではなく直接買うこともできそうです)
    • 私がAliexpressでよく利用しているメーカーです
    • 60%キーボードとキーキャップをよくここから購入しています
    • https://ymdkey.com/

デザイン性の高いキーキャップや、海外の特殊な基板はクラウドファンディングだったり直接販売者から買うこともあるようです。

パーツの選び方

自作キーボードをする場合

  • 使用するキーボードのキット(基板+ケースのセットのことが多いです)
  • キースイッチ
  • キーキャップ

を買うことが多いです。
(他に細かいパーツが別で用意する必要がある場合もあるので、買う際にはキットの別で必要なものがないか確認しましょう)
今回は↑の3点について選び方書いていこうと思います。

キーボードのキットの選び方

市販されているキーボードにも言えることですが、大まかに

  • サイズ(フルサイズを100%として n%)
  • 一体型 or 分割型
  • 一般的な配列 or 特殊配列

あたりで分類できると思います。
今回は、用途によっておすすめ?なキットと↑の観点でどのようなものか、いくつか紹介しようと思っています

超入門 GH60とGH60互換のクローン系

60% × 一体型 × 一般的な配列

私がメインで使っているものです。
HHKBサイズで自由にカスタマイズできる、という立ち位置だと思います。
市販品に近いものがありますが、キースイッチやキーコンフィグのために自作したいという方向けです。

  • GH60 PCB
  • GH60 keyboard kit

あたりの検索ワードで出てくると思います。

Ergoなんとか系

60%or40% × 分割 × 特殊配列(格子)

ErgoDoxというキーボードがあります。
これは完成品なのですが(結構いい値段する)それに近い配列で少し小型化したキットがあります。
分割キーボードで格子配列なので、移行は大変かもしれませんが、意外と癖はないと思うのでおすすめです。

該当するキットの例

分割できる60%サイズ

60% × 分割 × 一般的な配列

くっつけるとHHKBのような形になる分割できるキーボードです。
移行コストが少なく、分割キーボードを使えるようになるので、大きな変化なく分割を試してみたい方には大変おすすめです。
合わなかった場合一体型と同じような運用に切り替えても良いかなって感じがします。

該当するキットの例

はんだ付けしたくないけどキースイッチとキーキャップで個性を出したい!!

そんな方におすすめなのが、いわゆるベアボーンと呼ばれているキットたちです
スイッチとキーキャップは別購入でソケットに嵌め込むだけで工具いらずで出来上がります

該当するキットの例

  • GAS67
    • どうしても高くなるガスケット方式(基板の外周を抑えて固定する方式)のキーボードにもかかわらずかなり安いので良さそうです。
    • キーマップは基板に書き込みではなく、ソフトウェア制御なのでwindowsで1台にしか接続しないという場合以外、使い勝手が悪いかもしれないです。
    • https://shop.yushakobo.jp/products/4992
  • GK64
  • Keychron製品
    • お高いですがおすすめです。
    • 特に商品名にQMKと書いてあるものはおすすめです。ファームウェアを書き換えられるので、複数マシンを使うときでもキーマッピングを気にしなくて良いのも良いと思います。
    • https://keychron.co.jp/collections/q-シリーズ
  • PCMK JIS 60% Keyboard Barebone
    • ゲーミングデバイスです。ベアボーンにしては珍しいJIS,US,ISO配列すべて揃っています。
    • キーマップは基板に書き込みではなく、ソフトウェア制御なのでwindowsで1台にしか接続しないという場合以外、使い勝手が悪いかもしれないです。
    • https://pulsargg.jp/products/pcmk-jis-60

キースイッチの選び方

キースイッチとはキートップを外してその下にあるバネとスイッチ機構のあるパーツです。
よく言われる茶軸赤軸黒軸青軸...の部分です。
選び方は好みでの スイッチ特性×重さ で考えることになると思います。
スイッチ特性と重さの分類を個人的な視点で解説した後、おすすめできそうなスイッチのメーカーをいくつか紹介しようと思います

スイッチ特性

  • タクタイル(通称茶軸系): 押したときに少しカチッと音がする
    • 少しうるさいです。ガチャガチャという程ではないですがカチカチと音がしてほしい人向けです。
  • クリッキー(通称青軸系): 押したときにクリック感がある
    • クソうるさいです。明確に押した感触が欲しい人におすすめです。マジでうるさいです。
  • リニア(通称赤軸、黒軸系): スムーズに押せて、スイッチが入った時にフィードバックはない
    • 一番人気な気がします。スイッチ自体の音はないのですが、バチバチキーボードを叩くと底打ちの音は結構します。
  • 静音リニア(通称静音系?): スムーズに押せて、スイッチの底に静音性のある素材を使っている
    • オフィスで使うならおすすめです。
    • ものによっては静音化したことによって押し心地が悪くなったりしています。静音のための手間加わっているので少し高いです。

スイッチの重さ

  • 軽い: 40g台
    • かなり軽いです 通称赤軸の45gリニアが大人気です
  • 普通: 50g台
    • ちょうど良い重さだと思います
  • 重い: 60g台
    • 少し重いです、個人的には重いスイッチが好きなのでこのあたりを買っています

おすすめスイッチメーカー

Cherry

多分一番人気の超王道です。
ただ市販品によく採用されているので、自作で使うとあまり特別感が出ないかもしれないです。
ラインナップは豊富ですが、同じスイッチ特性の重さによるバリエーションは揃っていない感じがあります。
静音のスイッチも1種類あったと思います。

kailh

安いです。
ラインナップもCherryに合わせたカラーリングで少し廉価版という感じがします。
Cherryにはない独自カラーの製品もあります。
安く済ませたい方には、kailh製キースイッチはおすすめです。

Gateron

安いものから高級品まで割と幅広くある感じです。
Cherryの廉価版のようなスイッチから赤と黒の間の重さの黄色だったり、青の重いバージョンの緑だったりがあります。
静音軸のラインナップが豊富なのもおすすめな感じがします。

akko

最近出てきた、安くてカラフルなスイッチです。
Cherry製品にはない重さがほしいという方には、値段も含めておすすめです。
同じスイッチ特性での重さのバリエーションがあって、とても良いです。
少し値段が上がるのですが、最初から潤滑剤を塗ってあるスイッチもありました。
オリジナル製品であるCherry製の色を踏襲していない感じがあり、色だけ見て買うと想像と違うものが届きそうなので注意しましょう。

ZealPC

高いです、その分とても良いです。
ロゴを見る限り製造はGateronだと思います
全体的に重めのリニアスイッチ(60g~)が多いです。
特に静音スイッチの Sakurio/Roselio は静音にもかかわらずかなり押し心地が良いです。
オフィス用のキーボードで使っていますがかなり気に入っています。

DUROCK

おそらく高級品です。
Alpacaという製品しか知らないのですが、最初から潤滑剤が入っているのととても安定している感じがして好きです。
ZealPC製品より高かった記憶があります。

キーキャップの選び方

キーキャップのバリエーションは主に形状(プロファイル)と素材です。
好みなプロファイルと素材で好みの配色のセットがあったらそれを一式買うのが一番お手軽だと思います。
特殊な配列の場合は個数が足りずに別箇購入する必要がある場合もありますので、自分のキットに必要なキーキャップが揃うか確認してから購入することをおすすめします。

主要なプロファイルと素材について

プロファイルの好みは分かりづらいと思うので、実店舗なり商品ページなりを見て自分で判断したほうが良いと思いますが、一応主要なプロファイルについて解説します。
個人的なおすすめは、超小型や分割ならXDA、60%サイズならOEMです。

  • OEM
    • 市販のメカニカルキーボードはだいたいこの形、上の列になるにかけて少しずつ高くなる形です。とりあえずおすすめできると思います
  • SA
    • 上の列の高さがかなり高くなっています。面の凹みが大きく、少しレトロな雰囲気になります
  • DSA
    • 列による高さ違いがないプロファイルです。上面の面積も小さくコンパクトなキーボードに合うと思います
  • XDA
    • DSAプロファイルの上面の面積を広くしたプロファイルです。ポップな見た目になることが多いです

キーキャップのプラスチック素材は主に

  • ABS
    • 軽い、安い、市販のメカニカルキーボードはだいたいこちら
  • PBT
    • 少し重い、ABSよりは高い、市販のキーボードだと高級なものだと採用されている(リアルフォース等)

の2種類です。
個人的にはPBTのほうがおすすめです。

また、装飾目的で金属製やアクセサリー的な形のキーキャップがあり、Escキーやあまり使わないキーにはめている人もいたりします。
(詳しくは Artisan keycap で検索すると色々出てくると思います)

試しに1台考えてみた

ここまでの内容を踏まえて、

  • ノートPCの上に置いて使う60%キーボード
  • JIS配列が良い
  • カーソルキーが欲しい
  • ファームウェアを基板側に書き込みたい
  • スイッチはリニア系で軽いものにしたい
  • キーキャップはPBT素材のOEMプロファイルで無刻印
  • なるべく安く作りたい

という内容で1台考えてみました。
仕事で使っているものとほぼ同じものを自宅用"その2"にほしいという用途です。

次の記事ではこれを組み立てようと思っています。

おわりに

今回は自作キーボードとは何かということと、パーツの選び方について解説してみました。
少しでも興味があるという方の参考になったり、同じ趣味の人の読み物として機能すれば幸いです。