はじめに

こんにちは!ミルディアの藤井です。趣味はサッカー観戦です。最近はJ2、J3にとどまらず、さらに下のカテゴリーの現地観戦もしています。
今回は、サッカー界で一番熱い戦い(※独自調べ)、全国地域サッカーチャンピオンズリーグについて語ります。

JFLの下を知ってますか?

日本のサッカーに J1、J2、J3というカテゴリーがあるのはご存知のことと思います。それでは、その下のカテゴリーはなんでしょうか?

JFL(日本サッカーリーグ)?

ピンポーン、正解です!ではその下は?

図1 J1、J2、J3、JFL、その下は?

その下は、地域リーグと呼ばれます。

東京のチームであれば関東サッカーリーグ(1部、2部)、東京都社会人サッカーリーグ(1部〜4部)と続きます。地域リーグは関東のほかに、北海道、東北、北信越、東海、関西、中国、四国、九州の合計9大会あります。

ここで賢明な諸君であれば疑問が生じたことと思います。

どうやって9つの地域リーグからJFLに昇格するチームを選ぶんだ…?

それが全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(以下、地域CL)なのです!

図2 全国地域サッカーチャンピオンズリーグ

高き壁、それが地域CL

Jリーグ参入を夢見るチームの物語、その1

あるチームのお話をしましょう。そのチームは、Jリーグ参入を目指していました。

関西リーグの強豪チームです。関西リーグを4連覇。
意気揚々と地域CLに臨みます。

※写真はあくまでもイメージです

しかし結果は4年連続突破ならず。

そうしているうちに資金繰りも厳しくなり、運営会社を2度変えましたが、いまも地域リーグでJリーグを目指し奮闘しています。

おしまい(ほぼ実話)。

Jリーグ参入を夢見るチームの物語、その2

このチームも、Jリーグ参入を目指していました。
でも今は関東リーグでくすぶっています。

昨年は関東リーグで優勝したのですが、地域CLで敗れ、JFLに昇格できませんでした。

しかし関東リーグは強豪ひしめく世界で、今年は惜しくも優勝を逃してしまいました。

※写真はあくまでもイメージです

今年も昇格できないのか…。いや、全社枠(※)があるじゃないか!

背水の陣で全社に挑みます。
が、しかし、全社も組み合わせに恵まれず1回戦で敗れてしまいます。

今年も昇格できないのか…。いや、百年構想枠(※)があるじゃないか!
いままで年会費を払っていてよかった。

けれど、この必殺技を使えるのは1回限り…!今使うべきなのか…!?

必殺技を使って地域CLに参加したそのチームは、無事地域CLを勝ち抜けてJFLに参入、トントン拍子にJFL優勝を果たし、とうとうJリーグ参入を決めることができたのでした!

めでたしめでたし(ほぼ実話)。

※知らない言葉がたくさん出てきましたが、このあと説明いたします。

※写真はあくまでもイメージですってば

これらのお話で分かるように地域CLに出場すること、そして勝ち抜けてJFLに参入することはJリーグを目指すうえで今も大きな壁となって立ちはだかっているのです。

地域CLとは

地域CLは、古くは全国地域サッカー決勝大会(地決)と呼ばれていました。

そのしくみについては、もういちど図2を見ていただいた方が早いでしょう。

図2 全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(再掲)

地域リーグと呼ばれる北海道、東北、関東、北信越、東海、関西、中国、四国、九州のリーグ戦で1位になったチームが、JFL参入をかけて戦います。

この地域CLで1位になればJFL最下位と入れ替え、2位になればJFLの下から2番目のチームとの入替戦です。

簡単ですね。

あれ?右2つの三角はなんだ…?説明していきましょう。

地域CLの参加資格

さあ、ここからディープになってきます。ついてきてくださいね。
地域CLに参加できるのは12チーム。その内訳は次の通りです。

地域リーグ枠

地域リーグで1年間戦い、1位になった9チームが参加します。

激戦の全社枠

全社という大会の3位までが参加できます。

全社、すなわち全国社会人サッカー選手権大会は、これだけでブログ1本書けるくらいマニアックですので簡単に説明しますと、社会人の一番、つまり大人で一番強いチームを決めるトーナメント方式の大会です。国スポ(国民スポーツ大会、昔の国体)のプレ大会として行われることが多いようです。

地域CLや全社のパンフレット

地域CLとどう違うの…?というと、地域CLはリーグ戦のトップが集まりますが、全社はトーナメント、一発勝負のトップです。Jリーグと天皇杯の違いと考えてよいでしょう。

全国9地域でトーナメント方式の予選を戦い、勝ち抜いたチームが参加します。この予選は地域リーグとは別の一発勝負で、天皇杯予選を兼ねていることが多いようです。

魅惑の百年構想枠

地域リーグ1位のチームは強いので、全社の3位までに入ることも多く、その場合は枠が余るのでJリーグ百年構想クラブであるチームが地域CLに参加できます。

百年構想クラブというのは、Jリーグに加盟したいチームが申請するもので、所定の条件をクリアし、年会費 120 万円(2023年時点)を払っているチームです。

ただし百年構想枠で地域CLに参加できるのは1回限り。使いどころが肝です。

最後の望み輪番枠

ここまででまだ12チームに満たないときは、輪番枠という、地域リーグ2位のチームが出場できる枠があります。2024年の場合、東北、四国、関東リーグの2位に権利がありました。

JFLは全国リーグですので、地域リーグで戦うよりも遠征費などお金がかかります。そのため、地域リーグや全社を通過してもJFLには参加したくない、というチームもあり得ます。

その場合は輪番枠の出番です。だから地域リーグ2位でも希望は持てますが、2024年は全社上位3チームともJFL参加希望で、輪番枠の出番はありませんでした。

地域CLの勝ち抜けかた

地域CLでは、1次ラウンドを勝ち抜けた4チームで決勝ラウンドを戦います。

図3 地域CLの勝ち抜けかた

とにかく過酷な1次ラウンド

まずは1次ラウンド、12チームを3つのグループに分けてリーグ戦を行い、各グループの1位+2位の中で一番成績の良かった1チームが決勝ラウンドに進みます。

1次ラウンドは4チームのリーグ戦なので各チーム3試合づつ行うのですが、この試合は3日連続で行われます。

というのも、地域リーグにはサッカーのほかに仕事をしている選手が多く、仕事を長く休むことができない事情があるため、金土日の3日間で集中的に行うのです。

資金にも限りがあるチームも多いので、遠くからバスで遠征も普通。過酷です。

思惑うずまく決勝ラウンド

1次ラウンドを勝ち抜けば、2週間ほどおいて(仕事をして)決勝ラウンドです。

2017年までは決勝ラウンドも金土日でしたが、あまりに過酷なので岡田武史 FC今治オーナーの鶴の一声で、中1日の5日間に改められました。

1次ラウンドも決勝ラウンドも同じグループは同じ会場での集中開催なので、他試合の結果を見てから試合を行うこともあり、いわゆる談合試合になることがあります。

つまり、後から試合を行うチーム同士の利害が一致した場合には、示し合わせたように点が動かない試合にすることが可能です(ルール上は全く問題がない)。

このようなことを防ぐためワールドカップのグループリーグのように最終戦は同時キックオフにしたりするのですが、地域CLでは談合を折り込んで戦う必要があります。過酷です。

行きはよいよい帰りは恐い

そうやってほうほうの体で勝ち抜け JFL に昇格したとしても、JFLで下位に沈めば、また地域リーグに逆戻り。

また地域CLの戦いのやり直しです。

そうやってエレベーターしているうちに経営体力を失い、消滅してしまったチームもあるのです…。

図4 降格したら地域からやり直し

まとめ

地域CLについて駆け足でみてきましたが、それでもこんな分量になってしまいました。

日本代表はアジアでは敵なしになりましたが、それを支えてきたのが各地域のサッカーチームです。代表にも地域CLに出場経験のある選手がいます。

全試合がそれぞれのサッカー人生がかかった試合。歓喜、そして絶望。

6日間の短期決戦、来年は観に行ってみませんか?観戦は無料です。

参考文献

さらに深みにはまりたい方はこちら。