はじめに

こんにちは!エンジニアの藤井です。当社では、役職に関わらず多くの社員が何らかのマネジメント業務を行っています。

社内メンバーへはもちろん、外部の協力会社や業務委託先への依頼をスムーズに進めるために、個々人のマネジメントスキルの向上が期待されています。

そんな背景から管理職研修を実施することになり、その企画担当を拝命しました。初めての経験なので最初は何から始めたらよいか分かりませんでしたが、2度の実施にこぎつけました。

今回はその奮闘記を綴ります。

研修の前提

対象:社員全員(20人くらい)
方法:オンライン
時間:90分くらい
内容:マネジメントスキル
講師:外部に依頼

既存の公開講座に参加してもらうという方法もあるかと思うのですが、今回はクローズな形式で、当社向けに研修内容をカスタマイズして開催してもらう形式にしました。

初めての企画(失敗例)

テーマの選定

まずはマネジメントスキルの基本のキ、ということで、「コーチング」について研修を行うことに決めました。

依頼先の選定

次は講師派遣を依頼する委託先です。当社では以前ハラスメント研修を行っており、その際研修実施を依頼したA社に決めました。理由としては、そのハラスメント研修がなかなか良かったからです。

今思えば、これは安易な決断でした。

研修内容

テーマと依頼先を決めれば、「コーチング」のようなありきたりのテーマ、確立されたカリキュラムがあるだろう、と思っていました。

A社でコーチングといえば通常1〜2日かけてロールプレイしつつ学ぶコースらしいのですが、講習内容をカスタマイズできるとのことで、これを90分でお願いすることにしました。

後で判明するのですが、ここでも間違いを犯しました。

さて実施

蓋を開けてみると「コーチング」の研修というより、コーチングスキルの重要な一部である「傾聴」を深掘りする内容でした。「傾聴」やそれを阻害する「思い込み」についてその考え方をレクチャーした後、ブレイクアウトルームを使用して4〜5人のグループワークで意見交換をする、というものでした。

1日の研修を90分にぎゅっと縮めるのですから、全体を駆け足で巡るかと思いきや、重要な部分の理解を深めることに重きをおいたようでした。

私も受講して初めて内容を知り、思っていたのと違う、とびっくりしました。

今思えば、レジュメを頂いたときに、とても90分で入り切らない量だったので配分を確認すべきでした。

受講者の反応

受講後アンケートは、依頼先がとったものをこちらへ共有していただきました。

全般的に評価としてはさほど悪くなかったものの、実践例がすくなかったためか、コツやハウツーを求める意見がありました。

内容としては面白い例をあげたり、グループで意見交換させたりと興味のない受講者を引きつけるようなものだったのですが、意欲がある受講者にとっては、冗長になりすぎてしまいました。

また、意見交換も、何のために行うのかが不明瞭と、評判が今ひとつでした。

反省点

A社のハラスメント研修は良かったのに…と思ったのですが、当時の企画担当者に聞いたところ、その時は、研修内容の詳細な擦り合わせを行ったとのこと。

カリキュラム作成を任せきりにしてしまったのが良くなくて、実施前にレジュメや実例などを確認して、意見交換しておけば良かった、と反省しました。

また、研修テーマによって得意不得意があるかも知れないので、複数の委託先から話を聞けば良かったとも思いました。

再び挑戦(成功例)

テーマの選定

社内から、次は「リスペクト・トレーニング」にしようか、というお題を頂きました。

リスペクト・トレーニング、とは、ざっくり言えばハラスメント(差別的発言や、相手が嫌だなと思うこと)をしないための方法を学ぶ Netflix 社が開発したセミナーです。

テーマを選定できたら、ハラスメント、コミュニケーション方法、チームビルディングなど、周辺の知識を入れました。

依頼先の選定

「リスペクト・トレーニング」を実施してくれそうな会社をWebで検索してB社とC社の2社に絞り込み、お話を伺いました。

今回は、前回の反省を受け、当社の課題感、やってほしいこと・やらないでほしいことについてしっかり考えをまとめたうえで打ち合わせに臨みました。

課題

会社の課題

「リスペクト・トレーニング」ということは、リスペクトが足りない、という課題が考えられます。さらに深掘りすれば、チームの雰囲気が良くないことがある、という課題だと認識しました。

前回の課題

前回研修で出た課題をまとめ、課題を繰り返さないようにしました。

  • これが何の役に立つの→背景を学ぶ
  • ワークショップだるい→座学を増やす
  • で、どうしたらいいの→ハウツーを示す

受講者の課題

受講者アンケートに、コミュニケーションのとり方や話をうまく伝える方法が知りたいとの記載がありました。このあたりについても軽く触れられれば良いなと感じていました。

初回打ち合わせ

その後、B社、C社と打ち合わせを持ちました。

両社ともに以下を伝え、どのような研修が考えられるかをディスカッションし、カスタマイズした案を出していただきました。

  • ワークショップより座学を主にやりたい。
  • 概念の理解より、「じゃあどうしたらいいのか」にフォーカスを当てたい。
  • ハラスメント講習は実施済みなので、リスペクト=ハラスメント防止よりチームビルディング(良い雰囲気のチームを作る)につなげたい。
  • コミュニケーションが苦手な社員もいるので、アサーションの基礎みたいなこともやりたい。

ディスカッションの過程で、研修を受ける社員がどんな業務をする者かをお伝えしました。これは、実例をつくるうえで大事なので、あらかじめまとめておいた方がよさそうです。

業務例)

  • 社内の作業者に指示出し
  • 外部の協力会社や個人の業務委託に依頼出し
  • 顧客を説得する

案の比較

B社は、リスペクト・トレーニングにくわえ、ほかの既存の研修をカスタマイズした物を提案してくれました。

C社は、フルカスタマイズした研修を一から作って提案してくれました。

結論としては、C社の内容がよかったので、社内の意見も踏まえ、そちらにすることにしました。というのも、B社の担当者が営業よりの方で、研修内容を一から作成するのに長けていないようで、どうしても既存の研修ベースになってしまったからです。

また、リスペクト・トレーニングについては、チーム全員でディスカッションしてお互いを認め合う、言いたいことを言えるようにする、というもので、ディスカッションに講師が介入していく方式なので、あまりオンライン向きではないことと、リスペクトの前に言いたいことをうまく伝える方法を学ぶ必要がありそう、ということで、今回は見送ることとしました。

実施とアフターフォロー

その後、事例についてすり合わせるなど何回か打ち合わせを持ち、実施にこぎつけました。

実施後アンケートを取り、おおむね高評価でした。

まとめ

事前に準備しておくこと

次のことをあらかじめ決めておいてから、研修会社と打ち合わせするほうが成功に近づくと思います。

やりたい内容を考える

まずは、テーマをあらかじめ決めます。ある程度周辺の知識を得ておくと、研修会社との話し合いがスムーズです。おおまかな予算も決めておきます。

課題を把握しておく

これもケーススタディや内容を決めるのに重要です。会社としての課題がなにかを把握していないと、研修の意義がぶれてしまいます。また、受講者の課題を解決する内容だと、納得感があります。

受講者の仕事内容を把握しておく

実例やケーススタディをつくるうえで、とても重要になります。これがずれていると、受講者がピンとこず、で、どうすればいいの?となりやすいです。

受講者の傾向を把握しておく

学習意欲が高いか低いか。また、長時間話を聞くのが苦手か、仲間とディスカッションするのが苦にならないかなど全体のおおまかな傾向を把握しておいた方が良いです。

たとえば、学習意欲が高くてディスカッションが苦手ならばオンラインの座学多めがよさそうですし、皆で顔をあわせて話をしたほうがよいならば対面式のワークショップのほうが効果がありそうです。

打ち合わせ

ここまで把握していれば、依頼先の会社と話し合ったうえで、研修内容が決まっていくはずです。

研修方式

  • 座学多めか、ワークショップ多めか
  • オンラインか、対面式か
  • 1日コースか、数十分か

予算

詳細を決める前に、おおまかな金額を教えてもらいましょう。

内容

レジュメをもらえるはずです。詰め込みすぎ、と思ったら時間配分など話し合ってみましょう。

事例

こういうときにはこうしたらよいですよ、というハウツーです。これが社内の実情とあっていると、満足度が高くなります。

社内コンセンサス

何社かに研修案をもらったら、予算含め社内で検討します。このときに、事例についてもアイディアをもらうとよいです。

研修実施

特にフォローなどは必要なく、研修会社と講師にお任せして問題ありませんでした。

アフターフォロー

アンケートはとった方が良いです。PDCAを回しましょう。

実名を記載させるかについては、社内風土にもよりますが、実名だと悪い意見を言いづらいかもしれません。ただ、名前がわかれば、さらにインタビューできます。

さいごに

とにかく事前準備が重要だと痛感しました。研修会社まかせにせず、積極的にかかわっていくことが大事でした。

企画を頑張った結果、エンジニアなんですか!?人事担当の方かと思いました。と打ち合わせをしたC社の担当者に驚いていただいて、ちょっと嬉しくなりました。

稚拙な研修策定にかかわってくださった皆さん、受講してくださった皆さんに感謝します。

本稿が、すこしでも皆さんの研修企画に役に立つことを願っています。